2021 年 82 巻 7 号 p. 1359-1362
症例は膀胱癌に対して膀胱全摘,回腸導管造設術後の62歳の男性.術後フォローのCTで前回手術の回腸回腸吻合部に小腸腫瘍を認め,下部消化管内視鏡検査,病理組織検査の結果,原発性小腸癌疑いの診断となった.小腸部分切除を施行し,病理学的所見で原発性小腸癌と診断された.原発性小腸癌は比較的稀な疾患ではあるが,吻合部に発生する原発性小腸癌の報告は検索しうる限りでは認めなかった.病理組織学的所見からは,小腸腺癌のみならず多彩な分化度をもつ腺腫も存在しており,このことから回腸導管造設術後以降,吻合部粘膜への継続的な遺伝子変異が蓄積されてきたことが示唆される.吻合部自体が腫瘍の発生に寄与した可能性を考慮すると,回腸導管造設術の際の吻合部は下部消化管内視鏡検査で観察可能な範囲に作ることが肝要と考えられた.