2021 年 82 巻 9 号 p. 1684-1688
68歳,男性.上腹部痛を主訴に受診した.左上腹部に自発痛,限局した圧痛を認めるも,腹膜刺激徴候なし.腹部CTで近位空腸の腸間膜側に多発憩室,近傍の腸間膜内に腸管外ガスを認めた.空腸憩室の腸間膜穿通と診断した.腹部所見が軽微で,画像所見も局所に限局していたことから,絶飲食・抗菌薬投与による保存加療を選択した.第3病日に再検した腹部CTで腸間膜炎症所見の増悪と腸管外ガスの分布拡大を認めたため,第4病日に空腸部分切除術を行った.Treitz靱帯近傍から60cmに渡って空腸憩室が多発しており,30cmから50cmの部分で空腸間膜に炎症所見を認めた.穿通部を含む空腸部分切除術を行った.術後経過は良好で術後9日目に退院した.空腸憩室の穿通・穿孔は稀な疾患である.身体症状に乏しく,診断に苦慮するうちに重症化する可能性があり,日常診療において,その特徴的な画像所見を把握し,急性腹症の鑑別診断として念頭に置くべき病態と考えられた.