2022 年 83 巻 11 号 p. 1874-1881
目的:標準的リンパ節郭清のみの胃癌手術における術後乳糜漏はまれな合併症であるが,発症時には長期治療を要する.ポリマー結紮クリップ(以下,PLC)の乳糜漏予防効果を検証した.
方法:D1+またはD2郭清を伴う胃切除を行った胃癌262例を対象とした.クリップ使用群では腹腔動脈周囲深部断端をPLCでクランプした.非使用群と乳糜漏の発生率を比較した.
結果:乳糜漏はクリップ使用群で0/96,非使用群で7/166 (4.2%)に発生し,非使用群で有意に発生率が高かった(p<0.05).乳糜漏を発症した7例は,8~43日,中央値26.5日の術後長期入院を要した.
結論:標準的リンパ節郭清を伴う胃癌手術において,PLCクリップの部分的な使用が乳糜漏を予防する可能性があると考えられた.重篤な合併症ではないが,長期入院を要し,ルーチンのクリップの使用により発生が予防できることは有用と考えられた.