2022 年 83 巻 11 号 p. 1882-1889
目的:肝硬変を伴う消化管癌に対する腹腔鏡手術を含めた外科手術の検討は少ない.今回,その適応と安全性を検討する目的で本研究を行った.
方法:2004年4月から2022年3月に当科でリンパ節郭清を伴う根治手術を行った,肝硬変併存消化管癌症例32例(胃癌14例,大腸癌18例)を対象とした.患者背景,手術関連因子,合併症・死亡退院の有無,死亡退院例の詳細について,後方視的に検討を行った.
結果:Child-Pugh(CP)分類A,B群,開腹・腹腔鏡手術群間で患者背景,手術関連因子,術後合併症に大きな差を認めなかった.死亡退院群は全例CP分類Bで,生存群に比べCPスコア,MELDスコア,ALBIスコアが有意に高値であった.
結論:CP分類Aの肝硬変併存消化管癌患者への腹腔鏡手術の適応に問題はないと思われるが,CP分類B患者の場合は複数の指標を用いて評価を行い,手術適応やアプローチ方法を慎重に判断する必要がある.