2022 年 83 巻 11 号 p. 1890-1894
緒言:肥満症例で小開腹体外吻合に難渋する経験から,創長の縮小および授動の適正化を目指して体腔内吻合の導入を試みた.適応:盲腸から上部直腸まで適応としている.腹腔内汚染が懸念される場合は体腔内吻合は適応外としている.手技:Overlap法を基本手技としている.腸間膜に垂直に腸管を離断して,ステープルラインをメルクマールに吻合する.共通孔は基本的にステープラーで閉鎖する.目的:体腔内吻合の治療成績を検討した.対象:当院での2021年10月から2022年3月までの下部消化管悪性腫瘍手術を検討した.結果:下部消化管悪性腫瘍手術の吻合件数は31件であり,内7件(21%)が体腔内吻合を行った.縫合不全,腹腔内膿瘍などの合併症は認めていない.