2022 年 83 巻 12 号 p. 2103-2107
症例は83歳の女性.下肢痛で長期間整形外科的症候としてフォローされていた.嘔吐を主訴に来院した際に,左閉鎖孔ヘルニア嵌頓,右坐骨ヘルニアと診断した.嵌頓は超音波ガイド下に用手整復し,待機的に各ヘルニアとも腹腔鏡下修復術を実施した.術中,上記に加え右閉鎖孔・右内鼠径・左外鼠径ヘルニアの併存を認めた.手術は腹腔鏡下に,左側をtransabdominal preperitoneal approach (以下TAPP)で一括修復し,右側の閉鎖孔・坐骨ヘルニアは各々ヘルニア嚢を反転し結紮したうえで,閉鎖孔ヘルニア嚢を坐骨ヘルニア門に充填し縫合固定した.高齢の痩せ型女性が下肢痛を訴える際,骨盤部ヘルニアを念頭に置く必要がある.複数併存する場合もあり,同時に確認,修復が可能な腹腔鏡下手術は有用である.坐骨ヘルニアは非常に稀な疾患であり,腹腔鏡下に修復した報告例も少ないため,文献的考察を加えて報告する.