2022 年 83 巻 2 号 p. 435-439
症例は 66歳の男性で,前立腺癌に対してロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術を施行され,この時左交叉性精巣転位を指摘された.今回,右鼠径ヘルニア根治術目的に紹介となった.右鼠径部から陰嚢にかけて手拳大の腫脹を認めたが,容易に還納可能であった.腹部CTでは右陰嚢に2つの精巣が存在していた.術中所見では,精索の中に巨大なヘルニア嚢と精管・精巣動静脈の束を2本認めた.各々に高位剥離を施行し,メッシュを用いて修復した.経過は良好で術後第2病日に退院した.成人で交叉性精巣転位に鼠径ヘルニアを合併した極めて稀な1例を経験したので報告する.