2022 年 83 巻 2 号 p. 427-434
症例は32歳,男性.心窩部痛,嘔気を主訴に救急外来を受診した.腹部造影CTで網嚢内に限局した小腸の拡張像と,腸間膜の収束像を認めたことから内ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察すると,菲薄化した大網に裂孔を認め,小腸が裂孔を通って網嚢内へ嵌入していた.嵌頓を解除し,大網裂孔を縫合閉鎖した.嵌頓した小腸に壊死は認められず,温存可能と判断した.術後経過は良好であり,術後5日目に退院となった.大網裂孔ヘルニアの術前診断におけるmultidetector-CTの有用性および本疾患に対する腹腔鏡治療の現状に関して,本邦報告174例の解析を交えて考察する.