2022 年 83 巻 3 号 p. 491-497
43歳,女性.卵巣癌術後再発に対し化学療法施中,右乳房腫瘤を自覚し,当科紹介となった.超音波検査で,右乳房下外側区域に15mm大の辺縁不整な低エコー腫瘤と右腋窩リンパ節の腫大を認めた.針生検を施行し,右乳房腫瘤は浸潤性乳管癌,右腋窩リンパ節は卵巣癌転移の診断であった.再発卵巣癌に対しpoly ADP-ribose polymerase(PARP)阻害剤が投与され,右腋窩リンパ節転移は増大しない一方,右乳腺腫瘤は増大し,左乳房腫瘤にも腫瘤が出現し,針生検で浸潤性乳管癌の診断となった.両側乳房切除を施行し,術後病理診断は両側乳房腫瘤とも免疫組織化学検査を行い,CA125陽性となり,既往の高異型度漿液性卵巣癌の乳房転移であった.卵巣癌乳房転移は極めて稀で,乳癌との鑑別が困難であった.CA125染色を含む免疫組織学的検査が有用であった.卵巣癌乳房転移の症例について病理所見,文献的考察を加えて報告する.