日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸癌との鑑別困難な直腸転移を伴う乳腺浸潤性小葉癌の1例
矢野 華子新田 吉陽江口 裕可中条 哲浩盛 真一郎大塚 隆生
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2022 年 83 巻 3 号 p. 485-490

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抄録

症例は46歳,女性.2013年,他院で右乳癌に対して右乳房部分切除術+腋窩リンパ節郭清術を施行.最終病理診断は浸潤性小葉癌,pT3N1(1/22)M0 pStage IIIAの診断であった.2017年6月に便秘が持続し,精査の結果,直腸癌(signet-ring cell carcinoma)cT4bN0M0 cStage IIの診断となった.CTで子宮や仙骨への浸潤が疑われ,人工肛門造設術を実施した後にFOLFOXIRI+bevacizumab(BV),S-1+BVを投与し,その後Hartmann手術を行った.直腸手術検体の免疫染色はER陽性,PgR陰性,HER2 1+,E-cadherin陰性で原発性乳癌と形態も類似しており,浸潤性小葉癌の直腸転移と診断した.直腸腫瘍術後はレトロゾール内服治療を行っており,術後3年間で再発病変なく経過している.浸潤性小葉癌が消化管転移をきたすことは稀ではないことが知られているが,実臨床では診断に難渋することも少なくない.乳癌直腸転移の診断と治療方針について考察した.

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