2022 年 83 巻 3 号 p. 519-524
症例は78歳の女性で,腹痛を主訴に来院した.腹膜刺激徴候を認め,WBC 218.1×103/μL,CRP 24.14mg/dLと炎症反応上昇,腹部CTで腹水および骨盤内小腸に長径15cm大の巨大な腫瘤を認めた.小腸穿孔,腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.空腸に腫瘍を認め,同部で穿孔していた.腫瘍部はS状結腸,虫垂,右卵巣,後腹膜に浸潤し,巨大な膿瘍を形成していた.後腹膜への浸潤が強く,一部腫瘍組織が残存する形でS状結腸切除術+人工肛門造設術,空腸部分切除術,右卵巣,虫垂合併切除術を施行した.病理組織学的検査で単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫 (monomorphic epitheliotropic intestinal T-cell lymphoma: MEITL)の診断であった.術後は概ね問題なく経過し,第25病日より他院で化学療法を開始したが,経過中に残存腫瘍増大による尿管狭窄・水腎症を認め,第71病日に原病死した.今回われわれは,広範な多臓器合併切除を要したMEITLの1例を経験したので,若干の文献学的考察を加えて報告する.