2022 年 83 巻 5 号 p. 832-837
症例は58歳,女性.16年前に前医で右浸潤性小葉癌に対して右乳房全切除術+腋窩リンパ節郭清を施行された.手術病理結果は浸潤性小葉癌,pT2N1(2/19)M0,pStage IIB,ER陽性,PgR陽性,HER2 score1であった.術後補助療法として内分泌療法(anastrozole)が4年間行われた.術後6年目に右下腹部痛が出現し虫垂炎を疑われ,虫垂切除術を施行された際に腹腔内に播種結節を多数認めた.浸潤性小葉癌の胃転移・腹膜播種と診断され,当院を受診した.治療はtamoxifen+leuprorelinを9年3カ月間,anastrozole+palbociclibを7カ月投与し,現在も継続中である.浸潤性小葉癌の胃転移,腹膜播種は予後不良であることが多く,本症例のように再発後10年以上の長期生存を得た症例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.