2022 年 83 巻 6 号 p. 1062-1066
症例は90歳,男性.2020年4月に虫垂偽粘液腫による穿孔性腹膜炎で回盲部切除術,単孔式回腸人工肛門造設術を施行した.外来フォロー中の2021年1月に人工肛門先端部の黒色変化を主訴に来院した.整復困難で人工肛門腸管の重積脱出嵌頓および腸管壊死と判断し,同日緊急手術を施行した.本症例では腹壁を切開することなく,脱出嵌頓した腸管の壊死部~血流不良部を切除して腸管断端同士を層々吻合し,重積は徒手整復した.術後は合併症の発生もなく経過良好で,以後,腸管の再脱出を認めていない.本術式は開腹操作を伴わず低侵襲であり,当該症例に対する術式の選択肢の一つとなり得ると考えられた.今回われわれは回腸人工肛門重積脱出嵌頓に対し,人工肛門を再造設することなく,脱出腸管の切除のみで治療しえた症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.