2022 年 83 巻 6 号 p. 1153-1159
症例は70歳,男性.前立腺癌に伴う尿路感染症に対して前医で治療中,Fournier壊疽を認め当院泌尿器へ紹介された.造影CTで陰嚢内部にガス像を伴う液体貯留と,最大径78mmの脾膿瘍を認め緊急入院した.Fournier壊疽に対して膿瘍ドレナージ術と,抗菌薬で保存的治療を開始し,感染制御後に直腸狭窄を伴う前立腺癌のため人工肛門造設術が計画された.入院5日目に左上腹部痛が出現し,造影CTで脾膿瘍の増大と脾周囲に液体貯留を認め,脾膿瘍破裂による急性汎発性腹膜炎と診断し,当科で緊急手術の方針とした.開腹時白色膿汁を認め,脾臓周囲の剥離途中脾臓内から大量の膿汁の噴出を認めた.脾臓摘出術,腹腔内洗浄ドレナージ術後,S状結腸人工肛門造設術を施行した.術後門脈血栓を認めたが抗凝固治療で改善し,術後28日目に前医へ転院した.本症例のように大型の脾膿瘍では破裂の危険性を認識し,外科的処置の早期介入が肝要である.