日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
治療方針決定に超音波内視鏡下穿刺吸引法が有用であった乳癌膵転移の1例
中田 琢巳細野 芳樹
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 83 巻 6 号 p. 1147-1152

詳細
抄録

乳癌の膵転移は稀であり,治療方針の決定に当たっては原発性膵癌との鑑別が必要となる.そのため,転移巣の再生検による組織型の確認は有用と考えられる.今回,乳癌術後に判明した膵腫瘤に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,乳癌膵転移と診断できた1例を経験した.症例は70歳,女性.61歳時に左乳癌で乳房切除術の施行を受けた.

術後補助療法はEC 4クール後,レトロゾール内服を5年間施行した.術後8年目に膵尾部に腫瘤出現を認め,超音波内視鏡下穿刺吸引法により経胃的に生検が施行された結果,初発時の乳癌組織像と類似した組織で,乳癌の転移として矛盾のない所見とされた.これにより乳癌の膵転移と判断し,内分泌治療を再開した.

生検に際しては利益と不利益を十分考慮し,患者の苦痛や合併症を最小限にする必要があるが,比較的低侵襲な手技による組織診断が治療方針の決定に有用であった乳癌膵転移の1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2022 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top