2022 年 83 巻 6 号 p. 1164-1170
症例は76歳,女性.腹部エコーで右上腹部腫瘤を指摘された.CTで右上腹部に14cm大の腫瘤性病変を認め,右腎や肝臓を著明に圧排し辺縁に右副腎を認めた.内部は斑状に低吸収を呈し,造影にて辺縁に濃染を認めた.MRIではT2強調像で辺縁が低信号,内部は高信号と低信号が混在していた.副腎に発生した後腹膜chronic expanding hematoma(以下CEH)を疑った.5カ月後のCTで増大傾向を認めたため手術を施行した.周囲組織との癒着は剥離可能で,被膜を損傷することなく摘出した.標本は線維性被膜を伴う20cm大の巨大な嚢胞で,内腔に新旧混在する血腫と壊死組織,嚢胞壁に副腎を認めた.右副腎に発生した後腹膜CEHと診断した.CEHは手術や外傷を契機に発生し緩徐に増大する血腫であり,副腎原発はまれである.非常に巨大な腫瘤であったが,安全に被膜を含めた完全切除が可能であった.