日本臨床外科学会雑誌
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綜説
胆嚢癌の診断・術式選択のupdate
力山 敏樹
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2022 年 83 巻 6 号 p. 997-1004

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抄録

胆嚢癌の病態は様々であり,進行度や存在部位による診断や術式に関し,いまだ議論の余地がある部分を中心に考察する.

1.CTは,早期の胆嚢癌病変では,感度33%,特異度94%と報告されており,感度が低いことには注意が必要である.

2.EUSは隆起性病変の診断能に優れており,感度,特異度は91.7%,87.7%だが,壁進達度診断の正診率は55.5%とされている.

3.胆摘後に判明したT1a症例は追加切除不要であり,T1bであっても全割標本で診断されていれば追加切除は不要である.

4.T2症例に対する手術は,胆嚢床切除+領域リンパ節郭清が標準術式である.胆道癌取扱い規約第7版では,T2を腹腔側T2a(SS),肝側T2b(SS)と分類し,T2aが予後良好である.

5.T3以深症例に対する手術では,その安全性と予後とのバランスを考慮した判断が肝要である.進展様式による判断が重要であり,例え技術的にはR0切除が可能であっても,肝門浸潤型,他臓器浸潤型の手術適応には慎重を期すべきである.

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