2022 年 83 巻 8 号 p. 1506-1509
症例は71歳の女性.主訴は嘔吐.1週間前より排便がなく,当日に嘔吐したため当院を受診し,腹部単純CTにて横行結腸軸捻と術前診断した.内視鏡的整復を試みたが困難なため,緊急手術を施行した.術中所見では右側結腸の固定がなく,横行結腸中部から回腸とS状結腸にそれぞれバンド形成し,それを軸に反時計回りに360度回転していた.中腸軸捻と診断してバンド切離し,捻転解除した.またLadd's靱帯の形成を認めなかった.血性腹水や腸管の血流障害はなかったが,捻転再発の可能性を考慮して結腸右半切除術を施行した.非特異なバンド形成で中腸軸捻を発症した,成人腸回転異常症という稀な1例を経験したので,報告する.