日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下結腸右半切除術を行った馬蹄腎併存上行結腸癌の2例
井村 真赤本 伸太郎垣生 恭佑小西 祐輔福原 哲治中川 和彦
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2022 年 83 巻 8 号 p. 1501-1505

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抄録

症例1は85歳,女性.食欲低下を主訴に前医を受診し,CTで上行結腸癌,多発肝転移と診断された.術前の造影CTでは馬蹄腎を認め,重複尿管,卵巣動静脈の走行異常は認めなかった.腹腔鏡下結腸右半切除術D3郭清を施行した.右腎盂尿管は馬蹄腎の腹側外側を走行しており,内側アプローチの際に結腸間膜と腎盂尿管の剥離にやや難渋した.症例2は80歳,男性.検診で腫瘍マーカー高値を指摘され,精査の結果,上行結腸癌と診断された.術前の造影CTでは馬蹄腎を認め,重複尿管,精巣動静脈の走行異常は認めなかった.精巣動静脈合併切除を伴う腹腔鏡下結腸右半切除術D3郭清を施行した.右尿管は通常の走行より内側である馬蹄腎峡部寄りの腹側を走行していた.馬蹄腎を併存した右側結腸癌の報告はなく,手術時の尿管走行への注意点に関して若干の文献的考察を加え,報告する.

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