2022 年 83 巻 8 号 p. 1550-1556
症例は79歳の男性で,進行胃癌に対して胃全摘,D2郭清,Roux-en-Y法再建を施行した.術後5日目に膵液漏,術後9日目に十二指腸断端漏を合併したが,保存的加療により治癒した.ところが,術後25日目に中心静脈カテーテル(central venous catheter,以下CVCと略記)感染症による敗血症性ショックをきたし,直ちにCVCを抜去して抗菌薬投与を開始した.術後32日目に腰痛が出現し,術後49日目の腰椎MRIにて化膿性脊椎炎と診断された.安静と抗菌薬投与により軽快し,神経学的後遺症なく術後96日目に退院となった.胃癌周術期にはCVC留置が必要となる病態が存在するが,CVC感染後に腰痛が出現した場合には,化膿性脊椎炎の合併を念頭に置いて早期の診断・治療介入を行う必要がある.CVCの長期留置が必要となる病態の回避やCVCを用いない周術期管理についてのさらなる検討も望まれる.