目的:消化器癌術後の肺血栓塞栓症は予後不良の転帰を取ることも多いため,原因となる深部静脈血栓症(以下,DVT)の早期診断および発症予防が重要である.方法:2014年6月から2021年3月までに待機的腹部消化器癌手術を423例施行した.術前は術前下肢静脈エコーを施行した228例を対象とし,術後は術後Dダイマー10.0μg/mL以上で下肢静脈エコーを施行した132例を対象とし,周術期DVTの危険因子を患者背景,手術因子から後方視的に検討した.結果:DVTは術前2.2%,術後7.5%に認めた.術前DVTの危険因子はヘモグロビン10g/dL未満,術後DVTの危険因子はbody mass index 30kg/m2以上,術中出血量500mL以上,であった.結語:今後は,リスクスコアに基づいて分類し抗凝固療法の必要性を判断するために,日本人での周術期静脈血栓塞栓症のエビデンス構築が必要である.