日本臨床外科学会雑誌
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症例
区域切除から左肺下葉切除に術中術式変更し翌日脳梗塞をきたした左肺癌の1例
竹原 恵美宇山 攻松井 栞行重 佐和香池内 真由美日野 直樹
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2023 年 84 巻 1 号 p. 82-88

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抄録

肺切除術後脳梗塞は主に肺静脈断端に生じた血栓に起因することが知られている.症例は86歳,男性.左上葉肺癌+左下葉肺癌の診断にて,消極的左上葉部分切除+S6区域切除の方針となった.左上葉部分切除を先行したのちS6区域切除に移り,V6,A6,B6を処理したが,術中所見によりS6区域切除では不十分と判断されたため,左下葉切除へ術式変更した.先行切除したV6断端 stapleを巻き込まないように,やや末梢側で総肺底静脈を切離.肺底動脈と底幹支を切離し左下葉切除を完了した.翌日,突然左片麻痺が出現した.MRIで右中大脳動脈領域の術後脳梗塞と診断,経皮的脳血栓回収術が行われた.術後胸部CTで2.8cmと長い左下肺静脈断端が確認された.精査で他の要因も否定的であったため,術式変更時V6 stapleの末梢で総肺底静脈を処理したことで肺静脈断端が長くなり,生じた肺静脈断端血栓による脳梗塞をきたしたと考えられた.

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