日本臨床外科学会雑誌
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症例
心タンポナーデを契機に発見された横行結腸癌の1例
南浦 翔子寺岡 均庄司 太一木下 春人中川 泰生大平 雅一
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2023 年 84 巻 10 号 p. 1653-1658

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抄録

症例は64歳,女性.全身倦怠感を主訴に近医を受診.血液検査で肝機能障害を指摘され,精査加療目的で当院へ紹介となった.来院時原因精査のため行った腹部超音波検査でうっ血肝像を呈していたため,心臓超音波検査を施行したところ,全周性に大量の心囊液および左室駆出率の低下を認め,心タンポナーデおよび右心不全と診断し緊急入院となった.入院時に施行した心囊穿刺において回収した心囊液の細胞診で異型細胞を認め,癌性心タンポナーデと診断した.胸腹部造影CTでは横行結腸の壁肥厚,傍大動脈リンパ節および縦隔リンパ節の腫大,さらに左副腎の腫大も認めた.胸腹部MRIにおいては胸椎Th7および腰椎L5に骨転移を認めた.下部消化管内視鏡検査にて横行結腸に全周性の2型進行癌を認め,以上より横行結腸癌cStage IVbと診断した.自験例のように,心タンポナーデを契機に発見された横行結腸癌の症例は極めて稀である.

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