日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径管内に進展した後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1例
大津 周田村 耕一辻 俊明萩原 精太中森 幹人
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2023 年 84 巻 12 号 p. 1934-1939

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抄録

症例は71歳,男性.左下肢の痺れの精査で腰椎MRIを施行した際,腰椎椎間板ヘルニアとともに左腸腰筋前面に腫瘤を認めた.腹部造影CTでは,不均一に造影される長径11cm大の境界明瞭な腫瘤を認め,腫瘍辺縁を精巣動静脈が走行していた.鑑別として,神経鞘腫やGIST,脂肪肉腫などが考えられた.診断的治療目的に手術となり,下腹部正中切開で後腹膜腔から鼠径管内に進展する腫瘍を摘出した.病理組織学的診断では,脱分化型脂肪肉腫であった.術後は合併症なく経過して,術後9日目に退院となった.しかし,術後5カ月に局所再発を認め,腫瘍摘出術と左精巣摘除術を行った.遺伝子パネル検査を施行したところ,MDM2遺伝子とCDK4遺伝子の増幅を認めた.

後腹膜脂肪肉腫が鼠径管内に進展した症例の報告は少ない.腫瘍が鼠径管内に進展する場合には,精巣摘除術を含めた広範切除術と遺伝子パネル検査による薬物療法の検索を考慮すべきである.

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