一般には穿孔性腹膜炎と診断がついた時点で,その原因が大腸癌と判断できる症例はそれほど高率ではない.症状,腹部所見から下部消化管穿孔を疑う場合には全身状態を把握し,ショック状態の場合には早期から治療を開始するとともに可及的速やかに腹部CTを行う.大腸癌穿孔と診断したら,穿孔部位,腹膜炎・汚染の程度を評価し,これらの所見と全身状態を踏まえて治療方針を決定する.近年は,集中管理の進歩により救命率が上昇しているとは言え,緊急手術症例の急性期死亡率は予定手術と比較すると高率である.一方,全身状態が良好で耐術可能と判断した場合には,癌としての根治術を考慮する.腹膜炎状態に対する救命を優先する手術と,癌根治のために過不足のない郭清や多臓器切除などを行う根治手術は,元来は相反する手術方針が要求される.患者背景を勘案し,両手術方針を満たす最適な術式を施行する必要がある.