2023 年 84 巻 3 号 p. 386-392
症例は51歳,女性.5年前に右乳癌に対して手術を施行し,タモキシフェンを内服中であった.右乳癌診断時に左乳房に18mmの線維腺腫を認めた.右乳癌術後5年目に,左乳房腫瘤の急激な増大と疼痛を主訴に受診した.左乳房腫瘤は55mmに増大し形状の著しい変化を伴っていたため,吸引組織生検を施行した.病理所見では紡錘型細胞や多核巨細胞などの増殖を認めたが,上皮成分を認めなかった.免疫染色ではAE1/AE3とERは陰性,vimentinとCD68が陽性であった.精査中も腫瘍は急速に増大し,準緊急的に左乳房全切除術,センチネルリンパ節生検を施行した.術後病理所見では多核巨細胞を交えた紡錘形細胞の増殖と類骨形成を認め,腫瘍全域で上皮成分は認めず,乳腺原発骨外性骨肉腫と診断した.術後補助療法としてMAP(methotrexate,adriamycin,cisplatin)療法を施行し,術後1年7カ月の時点で無再発生存中である.乳腺原発骨外性骨肉腫はまれな疾患であり,文献的考察を加えて報告する.