日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に原発巣の特定が困難であった乳癌孤立性副腎転移の1例
山門 玲菜高橋 直樹鈴木 秀郎小西 尚巳町支 秀樹
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キーワード: 乳癌, 肺癌, 副腎転移
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2023 年 84 巻 3 号 p. 393-397

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抄録

症例は73歳,女性.70歳時に皮膚への浸潤を伴う右乳癌,右腋窩リンパ節転移,右肺転移の疑いで化学療法を施行.乳房腫瘤は縮小するも出血が持続し,右乳房全切除術と右腋窩郭清術を行った.浸潤性乳管癌,pT4bN2aM0,Stage IIIB,ER(+),PgR(+),HER2(-)の診断で,術後はホルモン療法を行った.乳癌の肺転移が疑われた肺腫瘤は術後精査で肺扁平上皮癌,cT2aN3M1c,Stage IVbと判明し,チロシンキナーゼ阻害剤の内服を開始した.72歳時に縮小傾向にあった肺腫瘤の再増大を認め,胸腔鏡下右肺上葉切除術を施行した.肺癌術後10カ月目には肺癌の右副腎転移が疑われ,右副腎切除術を行ったが,病理検索にて乳癌副腎転移の診断だった.乳癌の副腎転移は多くが他臓器への転移を伴い,孤立性副腎転移はまれである.全身療法が基本だが,孤立性転移の場合は局所療法が予後改善に有効との報告もある.さらに,病理学的に原発巣および病理学的特徴を特定することで,新規の治療を模索でき予後の改善も期待できる.

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