2023 年 84 巻 3 号 p. 427-431
72歳,女性.半年前からの心窩部痛を主訴に,当科を受診した.精査にて貧血,低アルブミン血症を認め,下部消化管内視鏡検査にて小腸結腸側々吻合を認めた.54年前に腸閉塞に対して手術歴があり,この際に回腸と上行結腸が側々吻合されたと推察された.症状と側々吻合に伴う盲管の存在からblind loop syndromeを疑い,腹腔鏡下に盲管部小腸の切除を施行した.この結果,貧血,低アルブミン血症と腹部症状の速やかな改善を認めた.Blind loop syndromeは消化管吻合に伴い腸管の拡張,腸内容物の鬱滞などが生じ,腸内細菌の増殖,粘膜障害等によって症状をきたすとされている.本症例は54年間無症状で経過しながら約半年で急激な症状の出現を認め,さらに手術による症状の速やかな改善を認めた.Blind loop syndromeの病態を考察するうえで貴重な症例であると考えられる.