2023 年 84 巻 3 号 p. 421-426
今回,絞扼性腸閉塞との鑑別を要し単孔式腹腔鏡手術を施行した1例を経験したので,報告する.
症例は38歳,女性.来院4日前に寿司を摂取し,来院当日の朝より心窩部痛を自覚し当施設を受診した.身体所見と腹部X線所見から腸閉塞を疑い腹部CTを施行し,腸管虚血の所見はなかったが絞扼性腸閉塞が否定できないことから,単孔式腹腔鏡にて緊急手術を施行した.回盲部から口側170cmの位置に小腸狭窄を認め,同部を部分切除した.術後経過は良好で術後5日目に退院となった.術後病理検査にて切除検体からアニサキス虫体を認め小腸アニサキス症の診断となった.本症は術前診断が困難な場合があるが,絞扼性腸閉塞が否定できない場合には腹腔鏡手術で腹腔内を検索し,術中所見で治療法を判断することは有用であると考えた.