2023 年 84 巻 3 号 p. 439-442
腹腔鏡下大腸手術において,病変部位のマーキングは腸管切離ラインの決定に重要であり,正確性と安全性を求められる.術中内視鏡や点墨法が一般的であるが,今回,術前に蛍光クリップ(ZEOCLIP FS®,ゼオンメディカル,東京)でマーキングを行い,術中に近赤外光カメラで病変部位を同定し,腹腔鏡下S状結腸切除術を行った症例を経験したので報告する.
症例は71歳,男性.スクリーニングの下部消化管内視鏡検査でS結腸ポリープを認め,EMRを施行.病理でS状結腸癌の診断となり,粘膜下層に2,400μmの浸潤を認め,追加切除目的に当科へ紹介となった.手術前日に下部消化管内視鏡を用いて腫瘍肛門側近傍に4箇所蛍光クリップを留置し,病変部のマーキングを行った.術中に近赤外光カメラを用い,漿膜を通して蛍光クリップを容易に視認することができた.蛍光クリップによるクリッピング時の有害事象や術中の合併症はなく,クリップの脱落もなく,安全性は問題なかった.