日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
結節性紅斑を併発した肉芽腫性乳腺炎の2例
手嶋 花梨細川 優子杤久保 順平森 弘樹
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 84 巻 6 号 p. 851-854

詳細
抄録

肉芽腫性乳腺炎に結節性紅斑を併発した2例を報告する.

症例1:32歳,女性.乳房腫瘤,乳房痛を自覚し当科を受診した.抗菌薬の投与で改善せず,臨床経過から肉芽腫性乳腺炎に準じた状態と判断した.乳腺炎発症から24日後に両下腿に有痛性紅斑と全身の関節痛,発熱が出現した.薬疹を疑われ,抗菌薬が中止されたが改善しなかった.皮疹は組織生検で結節性紅斑と診断され,自然消退した.一方で,肉芽腫性乳腺炎は増悪し,切開排膿とステロイド投与を行い改善した.

症例2:38歳,女性.乳房腫瘤,乳房痛を自覚し当科を受診した.抗菌薬の投与で改善せず,乳腺の組織生検から肉芽腫性乳腺炎と診断した.乳腺炎発症から22日後に下腿に有痛性紅斑が出現した.臨床所見より結節性紅斑と診断され,自然消退した.一方で,肉芽腫性乳腺炎は増悪し,切開排膿を行い改善した.

肉芽腫性乳腺炎の治療中に有痛性の皮疹が出現した際は,結節性紅斑を念頭に置くべきである.

著者関連情報
© 2023 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top