2023 年 84 巻 6 号 p. 868-872
症例は60歳,女性.右上葉肺癌(cT1cN0M0 Stage I A3)に対して胸腔鏡下右上葉切除+リンパ節郭清術(ND2a-1)を施行.術後経過は問題なく術後4日目に退院となったが,術後12日目に血圧低下を伴う右胸痛で当院に救急搬送.心臓超音波検査で心嚢液貯留を認めた.心嚢ドレナージを施行し乳白色の排液を認め,乳糜心膜症と診断した.心嚢ドレナージと食事療法にて乳糜心膜症は改善し,術後23日目に退院.術後37日目に右乳糜胸を認め再入院となったが,胸腔ドレナージおよび食事療法・胸膜癒着療法にて改善し,術後54日目に退院となった.乳糜心膜症は肺癌術後には稀な合併症であるが,心タンポナーデにより致死的な経過をきたす可能性があり,認知しておくべき合併症である.