2024 年 85 巻 10 号 p. 1365-1370
人工弁心内膜炎(prosthetic valve endocarditis:PVE)・縦隔炎は,ともに死亡率が高い重篤な疾患である.今回,PVEと縦隔膿瘍形成を生じた稀な症例に対して一期的手術を行い良好な経過が得られたため報告する.症例は62歳,男性.大動脈弁閉鎖不全症に対して生体弁による大動脈置換術(AVR)を施行した.AVR術後191日目に発熱精査で入院.血液培養からメチシリン耐性表皮ブドウ球菌を検出.心臓超音波検査にて弁に付着する疣贅および弁輪部周囲膿瘍を認め,PVEと診断した.CTにて大動脈基部から縦隔へと進展する膿瘍腔が形成され肺動脈を圧排していた.入院第5病日に大動脈基部置換術および一期的大網充填手術を施行した.術中および術後培養検査で菌検出は無く,感染再発は認めなかった.以後,再燃なく3年が経過している.