2024 年 85 巻 11 号 p. 1566-1573
3例の良性門脈閉塞に対するステント治療を経験した.いずれの症例も亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後の症例であり,3例中2例の門脈・上腸間膜静脈の狭窄・閉塞は術後膵液瘻に起因し,他の1例の病因は不明であった.狭窄・閉塞に伴い,1例は求肝性の側副血行路による消化管出血,他の2例は門脈圧上昇および遠肝性の門脈-全身循環シャントによる腹水や高アンモニア血症,意識障害等を発症した.いずれの症例に対しても経皮経肝的アプローチによる門脈ステント留置を施行し,治療後は予防的抗血栓治療を併用した.3例ともに長期的なステント開存が得られている.これまでの報告を集積した解析で,狭窄・閉塞原因の良・悪性如何に関わらず,ステント治療はいずれにも良好な治療効果が確認されており,当該病態に対して積極的に行うべき治療と考えられた.