2024 年 85 巻 12 号 p. 1666-1670
症例は64歳,女性.左乳癌に対して左乳房切除と腋窩郭清を施行した.術後診断はT3N1M0 pStage IIIA,ホルモン受容体陽性,HER2陽性であった.術後化学療法と抗HER2療法を施行したが,抗HER2療法中に呼吸器症状が出現し中止した.同時に多発骨転移を認め,内分泌療法を継続した.術後3年目,上腹部不快感の訴えが出現した.CTで多発肝腫瘍の出現と,上部消化管内視鏡で胃粘膜病変を認めた.胃粘膜生検を含む精査の結果,乳癌胃転移・肝転移の診断となり化学療法を開始したが,偽性肝硬変を呈し,レジメンの変更と肝硬変に準じた内科的治療を併施した.乳癌胃転移と偽性肝硬変は,いずれも比較的稀である.若干の文献的考察を加えて報告する.