2024 年 85 巻 5 号 p. 636-640
66歳,男性.3カ月間続く腹部違和感の精査のため前医で体幹部造影CTを実施したところ,回盲部に腫瘤を認めた,追加で実施した下部消化管内視鏡検査で回腸末端に病変を認めたが,生検で診断を確定できず,当院に紹介受診となった.当院受診後に腸閉塞が顕在化してきたため,腹腔鏡下回盲部切除術で原発巣切除を行った.病理組織学的検査で回腸原発の腺扁平上皮癌と診断された.手術時に腹膜播種の存在が強く疑われ,術後に多発肝転移も顕在化したが,本人と家族の希望で対症療法となり,術後3カ月目に在宅診療に移行した.術前診断に難渋し,術後急速に進行した回腸原発の腺扁平上皮癌の症例を経験したので,文献的考察とともに報告する.