2024 年 85 巻 5 号 p. 687-693
症例は79歳,女性.発熱,腹部膨満感を主訴に受診.画像検査で虫垂炎が疑われ,抗菌薬治療後に待機的手術とした.腹腔鏡所見では腹膜や腸管漿膜全面に約1mmの粟粒性結節があり,原発不明癌の腹膜播種を疑い生検のみで手術を終えた.腹膜生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,腹膜サルコイドーシスと診断,無症状のため経過観察とした.初回手術から約1年後に虫垂炎が再燃し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行したところ,鏡視下ではサルコイドーシス結節は消退していた.術後経過良好で,現在もサルコイドーシスの治療は行わず外来で経過観察している.サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする原因不明の炎症性疾患であり,縦隔リンパ節,肺,眼,心臓,皮膚に起こりやすいが,腹膜サルコイドーシスは本邦でも数例の報告のみで稀である.無治療で自然軽快を実際に確認した報告は本邦初であり,自験例に文献的考察を加えて報告する.