2025 年 86 巻 10 号 p. 1369-1374
症例は65歳,男性.ネフローゼ症候群の診断にて治療を受けるも,数年前より未治療となっていた.排便後に腸管脱出が出現し,2日後に肛門痛増悪のため救急搬送となった.直腸脱の診断にて用手還納後,経過観察目的に入院となり,CTフォローしたところ直腸に腸重積を疑う所見を認めた.大腸内視鏡検査にて粘膜反転を疑う隆起性病変を認め,整復を試みるも完全には整復不可であった.腸壊死や腸閉塞を疑う所見はなく入院後9日目に開腹下S状結腸部分切除術,単孔式ストーマ造設術を施行した.病理所見では重積部に明らかな腫瘍性病変はなく,特発性腸重積と診断された.術後経過は良好で,現在ネフローゼ症候群に対する治療を再開している.今回われわれは,肛門外に腸管脱出をきたした特発性S状結腸重積の1例を経験したので,報告する.