2025 年 86 巻 10 号 p. 1380-1384
症例は75歳,女性.以前より直腸脱を自覚していたが,症状に困らず経過観察していた.数日前からの食思不振のため来院した.経肛門的S状結腸脱出を認め,緊急手術を行った.脱出した腸管の還納は困難であり,腹腔内で口側を離断し会陰部から引き出して観察すると,肛門側はすでに離断しており,直腸離断によりS状結腸が脱出していたものと考えられた.脱出腸管を切除し,腹腔内から肛門側断端を閉鎖し,Hartmann手術を施行した.術後は合併症なく,経過良好であった.経肛門的腸管脱出を伴う直腸穿孔は稀な病態であり,多くは直腸脱の既往がある高齢女性に発症する.糞便性汚染による汎発性腹膜炎の合併は少なく,比較的予後良好と考えられる.今回われわれは,特発性直腸離断によりS状結腸脱出を認めた症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.