2025 年 86 巻 3 号 p. 377-382
症例は48歳,男性.疼痛を伴う左乳頭下腫瘤を主訴に当院を受診した.画像所見からは乳癌が疑われたが,針生検を施行し肉芽腫性乳腺炎と診断した.針生検により膿汁が排出され,症状は改善し経過観察していた.しかし,10カ月後に左乳頭部に発赤,腫脹,疼痛が再燃したため,再度受診した.切開排膿を行い,症状は速やかに消失した.肉芽腫性乳腺炎は乳腺良性疾患の一つで,主に女性にみられ,比較的若年者に多いとされるが,男性の報告は少ない.画像所見は乳癌と類似しており,鑑別が困難なこともある.今回,男性患者において肉芽腫性乳腺炎と診断した稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.