2025 年 86 巻 4 号 p. 552-557
症例は52歳,男性.鼻腔癌術後の経過観察目的のCTで,傍大動脈領域に長径15mm大の後腹膜腫瘍を認めた.超音波内視鏡下生検で神経鞘腫の診断となったが,以後増大傾向を認めたため手術目的に紹介となった.腫瘍は膵背側に位置し,腹腔動脈根部および上腸間膜動脈根部に接していたため,後腹膜鏡下アプローチでの腫瘍摘出術を計画した.手術は5ポート下に行い,後・前腎傍腔を剥離し左腎を授動することで,良好な視野で安全に腫瘤と血管周囲の剥離を行えた.術後経過は問題なく,術後7日で退院した.腫瘍は腹腔動脈周囲神経叢と連続性を認め,同神経叢由来と考えられたが,腹腔神経叢,特に腹腔動脈幹周囲から発生する神経鞘腫の報告は非常に稀である.今回,腫瘍の局在位置やサイズに合わせて後腹膜鏡下アプローチを選択し,腹腔動脈根部に近接した神経鞘腫を低侵襲かつ安全に切除しえた1例を経験したので報告する.