2025 年 86 巻 7 号 p. 863-872
直腸癌と肛門管癌の国際的病期分類として,UICC・AJCCのTNM分類が用いられており,治療に関してはNCCNガイドラインが用いられている.日本では大腸癌取扱い規約と大腸癌治療ガイドラインが用いられているが,肛門管癌取扱い規約は無い.そこで,大腸癌研究会プロジェクト研究として『肛門管癌の病態解明とStagingに関する研究』を実施し,本邦の肛門管癌症例を多施設から収集して解析を行った.その結果,欧米では多くが扁平上皮癌であるのに対し,本邦では多くが腺癌症例であった.一方,肛門管扁平上皮癌におけるHPV感染に関しては,本邦においても欧米と同様にHPV陽性率は非常に高率であり,遺伝子形はHPV-16が最も高率であった.また,Stagingに関しては,T4症例をT4a(腫瘍径が5cm以下)とT4b(腫瘍径が5cmを超える)に細分類すると明らかに予後に相違があり,T4の細分類を反映したStagingが考慮される.これらに基づき,本邦における肛門管癌のStagingと適切な治療方針を提案し,臨床へ還元していくことが重要である.