栄養療法に関する基礎的研究と臨床応用という業績により令和6年度日本臨床外科学会の学会賞を受賞に際し,これまでに携わってきた研究を振り返った.大学医局では胆汁の回腸への流路変更や回腸の一部を空腸に間置するIleal transpositionを開発し,消化管ホルモンなどの変化により糖尿病や高脂血症が改善されることを報告した.胃切除症例ではTPN管理を廃止し,術後1日目からの早期経腸栄養を導入した.それを契機に院内にNSTを発足させ,口腔管理センターも開設した.アミノ酸シスチン(700mg)・テアニン(280mg)が周術期の侵襲の軽減,S-1を始めとする抗がん剤の副作用の予防,悪液質の予防効果があることを示した.亜鉛は生体に需要な微量元素であるが,特に高齢者では不足しており各種集団での調査で血清亜鉛値が身体的・社会的活動性と相関があることを示した.コロナ罹患自宅待機症例で50歳以上の年齢では血清亜鉛値は低下していた.これまでの研究から臨床における栄養の重要性を学んだ.