2025 年 86 巻 8 号 p. 1005-1010
症例は90歳,女性.疼痛を伴い急速に増大する左頸部腫脹を自覚し,近医を受診.左甲状腺腫瘍および左頸部リンパ節腫大を指摘され,精査・加療目的に当科に紹介となった.CTで甲状腺左葉に65mm大の気管浸潤を伴う腫瘤と左内深頸領域に腫大リンパ節を認めた.リンパ節の針生検で,甲状腺未分化癌の転移と診断された.遺伝子検査でBRAF V600E変異陽性であった.年齢も考慮し,根治切除不能と判断し,Dabrafenib+Trametinib併用療法を開始した.投与開始後1週間で理学所見上,著明な腫瘍縮小を認め,疼痛も改善し,QOLの改善が得られた.投与開始2カ月後のCTでは原発巣およびリンパ節転移の著明な縮小を認めた.経過中Grade 1の発熱を認めたが,Acetaminophen内服で制御可能であり,減量を要する有害事象は認めなかった.超高齢者であっても,Dabrafenib+Trametinib併用療法により未分化癌の局所制御と疼痛緩和を通じてQOLの改善が得られた.