2025 年 86 巻 8 号 p. 1011-1017
症例は61歳,女性.6年前に当院で左乳癌(TisN0M0 Stage0)に対し乳頭温存乳房切除術とセンチネルリンパ節生検およびエキスパンダー挿入術を施行され,約8カ月後にシリコンインプラントへの入れ替え術が行われた.術後の補助療法はなく,3カ月ごとの経過観察と年1回の画像検査を行っていた.術後5年目で左乳頭乳輪部のびらんが生じたが,画像検査で局所再発の診断には至らず,接触性皮膚炎として加療したが,6年目にびらん拡大とエコーで皮下腫瘤を認め,皮膚生検を行い,Paget病と診断された.左乳頭乳輪切除とセンチネルリンパ節生検およびエキスパンダー挿入術を施行した.われわれは,乳頭温存乳房切除術後にPaget病を生じた症例を経験した.Paget病は比較的稀な疾患であり,乳房再建後に生じた報告は本邦で2例目である.乳房再建術は増加しており,乳頭温存乳房切除術後の乳頭部病変に対しては,HER2陽性の場合,Paget病の発生も考慮し積極的な皮膚生検の施行が重要であると考えられた.