2025 年 86 巻 8 号 p. 1112-1118
鼠径部interparietal hernia(以下,IPH)はヘルニア囊が腹壁の様々な筋層,筋膜間へ進展する稀な鼠径ヘルニアの一亜型である.今回,われわれは鼠径部IPHに対してtransabdominal preperitoneal approach(以下,TAPP)で治療した2症例を経験したので報告する.症例1は62歳,女性.右鼠径部の膨隆を主訴に当院を受診した.腹部CTでヘルニア囊は内腹斜筋と外腹斜筋腱膜の間へ進展していた.右鼠径ヘルニアの診断でTAPPを実施した.術前CTおよび手術所見から,術後に改めて鼠径部IPHと診断した.症例2は80歳,女性.右鼠径部から右側腹部の疼痛を主訴に当院を受診した.腹部CTでヘルニア囊は内腹斜筋と外腹斜筋腱膜の間へ進展していた.症例1の経験から鼠径部IPHを疑いTAPPを実施し,術中所見より鼠径部IPHと診断した.鼠径部IPHの診断および治療にTAPPが有用であった.