2025 年 86 巻 8 号 p. 1108-1111
84歳,男性.来院3カ月前から右鼠径部膨隆を自覚していた.健康診断のCTで右内鼠径ヘルニアを疑われたため,紹介受診した.立位で右鼠径部に手拳大の膨隆を認め,CT所見より,新Japan Hernia Society (JHS)分類M2相当の右内鼠径ヘルニアと診断し,待機的に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(Trans-Abdominal Pre-Peritoneal repair;TAPP)を行った.腹腔内を観察すると,下腹壁血管の内外側にそれぞれ2.5cm大と2.0cm大のヘルニア門を認め,新JHS分類右M2型と右L2型と診断した.また,腹膜前腔を剥離すると大腿輪に1.5cm大のヘルニア門が存在したため,大腿ヘルニア類似病変と追加診断した.自験例のような内鼠径ヘルニア・外鼠径ヘルニアに大腿ヘルニア類似病変が併存した例は報告がない.腹腔鏡手術でなければ診断困難な稀な症例を経験した.