2026 年 87 巻 3 号 p. 333-338
症例は56歳,女性.上腹部痛を主訴に当院を受診し,好酸球性胃腸炎の疑いで入院した.精査中に腹痛が増強し,炎症所見が悪化した.CTでfree airを認め,消化管穿孔,汎発性腹膜炎と診断して緊急手術を行った.
術中所見で小腸に2箇所の穿孔部を認め,広範な血流不良域を認めたため小腸を170cm切除,open abdominal managementとした.再手術でも腸管の色調不良域を追加切除して吻合,閉腹した.残存小腸は50cmで短腸症候群をきたし中心静脈栄養を導入した.
病理組織学的には小腸粘膜に好酸球の粘膜下層浸潤,血管炎の所見を認め,喘息の既往,好酸球の増多などの臨床所見を踏まえ,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と診断した.
EGPAは中高年に好発し,気管支喘息・鼻炎が先行し多臓器に障害をきたす疾患である.消化管病変を引き起こすことも知られているが,消化管穿孔,特に多発穿孔を起こす例は非常に稀とされる.今回われわれは,EGPAによる多発小腸穿孔に対して大量小腸切除を行った症例について,文献的考察を含めて報告する.