2026 年 87 巻 3 号 p. 339-344
症例は57歳,女性.2017年6月,下腹部痛と呼吸苦を主訴に当院を受診した.胸腹部造影CTで,右卵巣に多房性囊胞性腫瘤,上部直腸に造影効果を伴う腫瘍性病変と所属リンパ節の腫大と胸腹水を認めた.以上から,直腸と卵巣の重複癌,またはpseudo-Meigs症候群を合併した直腸癌卵巣転移と診断し,高位前方切除術(D3郭清)と右卵巣切除を行った.術後病理診断で右卵巣は直腸癌の転移であり,術後8日目には胸腹水は消失,pseudo-Meigs症候群と診断した.その後,化学療法を施行することができたが,術後1年3カ月で対側の卵巣転移を認めた.再度,胸腹水による呼吸苦が出現したため,左卵巣切除を施行した.手術により症状は消失し化学療法を再開することができたが,初回手術より4年6カ月で原病死した.
今回われわれは,左右の卵巣で異時性にpseudo-Meigs症候群を呈した直腸癌卵巣転移の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.