2026 年 87 巻 3 号 p. 351-357
離断型胆汁瘻は難治性の合併症であるが,非観血的治療にて治癒しえた1例を経験したので報告する.症例は74歳の男性で,膵管内乳頭粘液性腫瘍に対してロボット支援下幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後6日目より後区域胆管からの胆汁瘻を認めた.術後14日目に,拡張した後区域胆管(B6)に対して経皮経肝胆道ドレナージを施行した.本人の非観血的治療の希望があったため,退院したのち,術後83日目に後区域門脈塞栓術を施行し,術後104日目に離断後区域胆管に対し胆道ドレナージチューブから無水エタノールを注入し,胆管焼灼術を施行した.その後,術後160日目まで合計10回の胆管焼灼術を施行したところ,術後165日目に胆汁瘻は治癒した.治療後2年10カ月の現在,再発を認めていない.エタノールによる門脈塞栓術および胆管焼灼術は治療期間が長期におよぶ場合もあるが,低侵襲で行える有効な治療法の一つであり,今回われわれは文献的考察を加えて報告する.